引っ越しが決まると、荷造りや役所の手続きなどで毎日が慌ただしく過ぎていきます。そんな中で、意外と忘れがちなのがインターネット機器の扱いです。特に「ルーターやモデムは返却が必要なの?」「どうやって梱包すればいい?」という疑問を持つ方は少なくありません。
もしレンタル品を返し忘れたり、返却時に壊してしまったりすると、後から思わぬ違約金を請求されることもあります。せっかくの新生活をトラブルなく始めるためにも、正しい返却ルールを知っておくことは非常に大切です。
この記事では、引っ越しの際のルーター・モデムの返却方法や、配送中に傷をつけないための梱包のコツを詳しく解説します。スマートな引越ライフを実現するために、必要なステップを一つずつ確認していきましょう。
引っ越しの際のルーター・モデムの返却と契約確認のステップ

インターネット回線の撤去や継続の手続きは、引っ越しの1ヶ月前を目安に始めるのが理想的です。まずは、現在使用している機器が「レンタル品」なのか「自分のものであるか」を正しく把握することから始めましょう。
レンタル機器と自前機器の見分け方
最初に確認すべきなのは、そのルーターやモデムがプロバイダーから借りているものかどうかです。一般的に、壁のコンセントから直接つながっている「ONU(光回線終端装置)」や「モデム」は、ほぼ100%レンタル品だと考えて間違いありません。
一方で、無線LANルーター(Wi-Fiを飛ばす機械)は、自分で家電量販店やネット通販で購入したものと、プロバイダーのオプションで借りているものの2パターンがあります。契約書やマイページを確認し、月額のレンタル料金が発生していないかチェックしてください。
もし自分で購入したものであれば、返却の必要はありません。引っ越し先の新居でもそのまま使えることが多いため、他の家電と一緒に新居へ運びましょう。レンタル品の場合は、解約や移転の手続きとセットで返却の手順を確認します。
プロバイダーへの連絡と解約・移転手続き
機器の所有者が分かったら、次は契約しているプロバイダーや回線事業者に連絡を入れます。引っ越し先でも同じ回線を使う「移転」なのか、一旦解約して別の回線にする「解約」なのかを伝えましょう。
連絡のタイミングが遅れると、引っ越し後も使っていない旧居の料金が発生し続ける可能性があるため注意が必要です。また、撤去工事が必要な場合は、業者の予約が埋まりやすい引っ越しシーズンには早めの手配が欠かせません。
連絡を入れると、後日プロバイダーから「返却キット」と呼ばれる専用の袋や箱、伝票が送られてくることが多いです。このキットが届くのを待ってから梱包作業に入ると、その後の発送作業が非常にスムーズになります。
ONU・モデム・ルーターの役割の違い
返却の際、どの機械を返すべきか混乱しないように、それぞれの役割を簡単に整理しておきましょう。インターネットを繋ぐための機械には、大きく分けて3つの種類があります。
・ONU(光回線終端装置)
光信号をデジタル信号に変換する装置です。光回線を利用している場合に必ず設置されます。
・モデム
電話回線(ADSL)やCATV回線などのアナログ信号をデジタル信号に変換する装置です。
・ホームゲートウェイ
ONUの機能に加えて、ひかり電話やルーターの機能が一体になった多機能な装置です。
これらは回線事業者の資産であるため、契約を終了する際は必ず返却しなければなりません。もしルーターと一体化しているモデルを使っている場合は、その1台を返却するだけで済みますが、別々の場合は両方の返却が必要です。
自分がどの機器を借りているかは、プロバイダーから届く「開通案内」などの書類に記載されています。書類が見当たらない場合は、機器の背面に貼ってあるラベルの型番を控えて、カスタマーサポートに問い合わせると確実です。
返却が必要な付属品とケーブル類のチェックリスト

本体だけを返せばよいと思われがちですが、実は付属していたケーブル類や周辺機器もすべて返却するのが基本ルールです。欠品があると、後日不足分の代金を請求されることもあるので、漏れがないか入念にチェックしましょう。
ACアダプターと電源ケーブルの重要性
最も忘れやすいのが、機器の電源を供給するACアダプターです。モデムやルーターの本体だけを梱包して、電源コードを壁のコンセントに挿したまま忘れてしまうケースが多発しています。
ACアダプターは機種ごとに専用の電圧・電流で作られているため、他の機器のコードで代用することができません。そのため、プロバイダーにとっては本体とセットでなければ価値がなくなってしまいます。
複数の機器を使っている場合、どのアダプターがどの本体のものか分からなくなることもあります。抜く前にアダプターのラベルを見て、本体のメーカー名や型番と一致しているか確認しながら、セットにしてまとめておきましょう。
LANケーブルとモジュラーケーブルの確認
本体とパソコンを繋いでいた「LANケーブル」や、壁の差し込み口とモデムを繋いでいた「モジュラーケーブル(電話線)」も返却対象に含まれることが一般的です。これらは消耗品のように思えますが、基本的には一式返却が求められます。
特に、プロバイダーから提供された専用のLANケーブルがある場合は、それを優先的に返却してください。どれが借りたもので、どれが自分で買ったものか分からなくなった場合は、ひとまず手元にある標準的な長さのものを同梱しておくと安心です。
また、光コンセントとONUを繋いでいる細い「光ファイバーケーブル」は、非常にデリケートです。これは無理に抜くと断線する恐れがあるため、プロバイダーから「抜かずに残しておいてください」と指示がある場合は、その指示に従ってください。
説明書や縦置き用スタンドなどの周辺パーツ
機器を立てて置くための「縦置きスタンド」や、設定時に参照した「取扱説明書」、付属の「設定ガイドCD」なども、届いた時の状態に近づけて返却するのがベストです。箱の中に大切に保管していた方は、それらもすべて箱に戻しましょう。
もちろん、箱自体は捨ててしまっていても問題ないケースがほとんどですが、スタンドなどのプラスチックパーツは返却を求められることが多いです。引っ越しの荷造り中に、これらを「ゴミ」と勘違いして捨てないように気をつけてください。
返却物のリストを作成しましたので、梱包前に以下の表で最終確認を行ってください。すべて揃っていることが確認できたら、次のステップである梱包作業に進みます。
| チェック項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 機器本体 | ONU、モデム、ホームゲートウェイ、レンタルルーター |
| 電源周り | ACアダプター、電源コード(本体とセットになっているもの) |
| 通信ケーブル | LANケーブル、モジュラーケーブル、光ケーブル(指示がある場合) |
| 付属品 | 台座(スタンド)、取扱説明書、保証書、設定用CD |
配送中の故障を防ぐための正しい梱包の手順

レンタル機器は、あくまで「借りているもの」です。返却の途中で衝撃を受けて故障してしまうと、修理費用を請求されるリスクがあります。引っ越しのプロも実践する、丁寧な梱包方法を身につけましょう。
緩衝材(プチプチ)を使った保護の基本
機器本体は精密機械ですので、裸のまま段ボールに入れるのは厳禁です。まずは「プチプチ」などの緩衝材(エアクッション)を使って、本体を2重から3重に包みましょう。角の部分は特に衝撃を受けやすいため、念入りに巻くのがコツです。
もし手元に緩衝材がない場合は、新聞紙を厚めに巻くか、使わなくなったタオルや衣類で包むことでも代用できます。ただし、紙屑や繊維が機器の隙間(排熱口)に入らないよう、ポリ袋に入れてから包むとより丁寧です。
梱包の際は、端子部分(ケーブルを挿すところ)に負荷がかからないように注意してください。特にアンテナが立っているタイプのルーターは、アンテナを無理に曲げず、自然な形で固定するように心がけましょう。
段ボール内の隙間を埋めるテクニック
適切なサイズの箱を用意したら、底にクッションとなる緩衝材を敷きます。その上に本体と付属品を配置しますが、この時に中で機器が動かないようにすることが最も重要です。
箱の中に隙間があると、運送中に荷物が揺れた際、中身が壁面にぶつかって破損の原因になります。丸めた新聞紙や余った梱包材を隙間にぎっしりと詰め込み、軽く箱を振ってみて「ガタガタ」と音がしない状態を目指してください。
複数の機器(ONUとルーターなど)を一つの箱に入れる場合は、機器同士が直接ぶつからないよう、それぞれの間に緩衝材の仕切りを作るようにしましょう。重い機器を下、軽い機器やケーブル類を上に置くのが基本の配置です。
返却用伝票の貼り付けと発送の準備
梱包が終わったら、箱をガムテープでしっかり封印します。十字にテープを貼ると、底が抜けにくくなり安心です。その後、プロバイダーから指定された配送伝票を天面に貼り付けます。
最近では、プロバイダー側が送料を負担してくれる「着払い伝票」が送られてくることが多いです。もし元払い(自分負担)と言われた場合は、コンビニや郵便局で伝票をもらって記入します。送り先を間違えると返却したことにならないため、住所は正確に記載しましょう。
発送が完了したら、控えの伝票は必ず保管しておいてください。万が一、プロバイダー側から「届いていない」という連絡が来た際、発送した証拠として追跡番号が必要になるからです。新しい生活が落ち着くまでの数ヶ月間は捨てずに持っておきましょう。
主要な回線事業者別の返却ルールと注意点

返却方法は、契約している回線事業者によって細かな違いがあります。代表的なサービスごとの返却ルールをまとめましたので、自分の契約先に該当する項目を確認してみてください。
NTT(フレッツ光・光コラボ)の返却方法
NTTのフレッツ光や、ドコモ光・ソフトバンク光といった「光コラボレーション」を利用している場合、返却先はNTTになります。解約手続きを済ませると、NTTから「返却用袋」と「着払い伝票」が届くのが標準的な流れです。
この袋にONUやホームゲートウェイを入れ、郵便局や指定のコンビニから発送します。光コラボ事業者の独自ルーターを別途借りている場合は、返却先が2箇所(NTTとプロバイダー)になることもあるため、それぞれの返却先を間違えないよう注意が必要です。
また、NTTの機器は「回収」ではなく「お客様による発送」が基本ですが、撤去工事が行われる場合は、その場で工事担当者が持ち帰ってくれることもあります。工事の有無によって手順が変わるため、事前の連絡内容をよく確認しましょう。
SoftBank光・auひかりなどの独自回線
SoftBank光の場合、NTTから借りているONUとは別に、SoftBankから「光BBユニット」という白いルーターを借りている方が多いです。これらは返却先が異なるため、指示に従って別々に発送しなければなりません。
auひかりやNURO光などの独自回線サービスでは、解約後に提携の配送業者が自宅まで機器を回収しに来てくれるパターンが多いのが特徴です。自分で発送する必要がないため楽ですが、あらかじめ指定の日時までに梱包を済ませておく必要があります。
回収に来る業者は、梱包用の資材を持ってきてくれる場合もありますが、基本的には自分で用意した箱や袋にまとめておくのが無難です。事前に「自分で梱包が必要か」を確認し、スムーズに受け渡しができるように準備しておきましょう。
ケーブルテレビ(J:COMなど)の返却ルール
J:COMをはじめとするケーブルテレビ(CATV)回線の場合、返却は「スタッフによる訪問回収」が一般的です。テレビのチューナーと一緒にインターネット用のモデムを撤去するため、専門の技術者が自宅に上がって作業を行います。
この場合、自分で梱包する必要はありませんが、機器の周りを片付けて作業スペースを確保しておく必要があります。また、訪問日の調整が必要になるため、引っ越し当日ギリギリではなく、余裕を持った日程で予約を入れることが大切です。
もし郵送返却を希望する場合は、返却手数料が発生することもあります。各地域のケーブルテレビ局によってルールが異なるため、引っ越しの連絡をする際に、最適な返却方法を相談してみるのが良いでしょう。
機器を返却しなかった場合に発生するリスクと違約金

「たかが機械ひとつ」と思っていると、後から大きなトラブルに発展することがあります。返却を怠ったり、不備があったりした場合にどのようなリスクがあるのかを知っておきましょう。
未返却時に請求される高額な賠償金
解約後、一定期間が過ぎても機器の返却が確認できない場合、プロバイダーから「機器未返却代金」や「未返却違約金」が請求されます。この金額は意外と高額で、1万円から2万円程度に設定されていることがほとんどです。
「引っ越しのどさくさで紛失してしまった」という言い訳は通用しません。たとえ中古の機器であっても、契約上は貸与品であるため、時価ではなく一律の賠償金が発生します。引っ越し費用で出費が多い時期に、この追加出費は非常に痛いものです。
もし新居に持っていってしまった場合は、すぐに元のプロバイダーへ連絡して返送先を確認してください。発送が遅れた日数分だけ督促の電話や書面が届くこともあるため、早急な対応が求められます。
故障や破損による修理費用の請求
返却はしたものの、届いた機器が著しく破損していたり、水濡れなどで故障していたりする場合も、修理費用を請求される可能性があります。特に「梱包が不十分で、配送中に壊れた」というケースは、自己責任と見なされがちです。
また、ACアダプターが断線していたり、端子部分が曲がっていたりする場合も、部品代を請求されることがあります。返却前に、明らかな外傷がないか、ケーブルが傷んでいないかを自分の目でチェックしておきましょう。
通常の範囲内で使用していてついた細かい傷などは、経年劣化として扱われるため心配いりません。しかし、ペットがかじった跡や、タバコのヤニ汚れがひどい場合などは、クリーニング費用や交換費用が発生することもあるので注意が必要です。
返却完了の証拠を保管しておく大切さ
最も避けたいのは、自分は返却したつもりなのに、システム上で「未返却」と処理されてしまうミスです。膨大な数の返却物を処理しているプロバイダーでは、稀に管理ミスや、配送途中の紛失が起こることがあります。
このようなトラブルの際、自分を守ってくれるのは配送伝票の控え(追跡番号)だけです。「いつ、どこから、どの番号で送ったか」が分かれば、配送業者に問い合わせて荷物の所在を証明することができます。
追跡番号がないと、自分が送ったことを証明する術がなく、結局賠償金を支払わざるを得なくなることもあります。スマートに引っ越しを終えるために、伝票の控えは専用のクリアファイルに保管し、解約完了のメールや書面が届くまで大切に取っておきましょう。
引っ越し後、数ヶ月してから「機器が返却されていません」というハガキが届くことがあります。そんな時でも、伝票の控えがあれば、コールセンターに電話一本入れるだけで解決できます。
引っ越しのルーター・モデムの返却と梱包についてのまとめ
引っ越しに伴うインターネット機器の返却は、事前の確認と丁寧な梱包が成功の鍵となります。まずは自分が使っている機器がレンタル品かどうかを判別し、解約・移転の手続きと同時に、返却方法をプロバイダーへ確認しましょう。
梱包の際は、本体だけでなくACアダプターやLANケーブル、スタンドなどの付属品を忘れずにセットにすることが重要です。精密機械であることを意識して、緩衝材でしっかりと包み、段ボールの中で動かないように隙間を埋めてください。配送中に壊れてしまうと、思わぬ高額な違約金を請求されるリスクがあるからです。
最後に、発送時の伝票控えは必ず保管しておきましょう。万が一の配送トラブルがあった際、あなたが正しく返却したことを証明する唯一の手段となります。一つひとつの手順を丁寧に進めることで、引っ越し後のネット環境もスムーズに整い、気持ちよく新生活をスタートさせることができるはずです。



